令和元年、新しい時代は災害だらけの年でした。
被災して損害があった人は確定申告をして雑損控除を受けましょう!
Contents
雑損控除とは
雑損控除とは、災害などで資産に損害を受けた場合、一定額を所得から差し引く所得控除です。
課税される所得金額を低くすることができるので、差し引かれた分だけ支払う税金が少なくなります。
雑損控除の対象
雑損控除は損害の原因と対象の資産に要件が決められています。
要件1:損害の原因
まず、原因は下記のどれかに当てはまる場合が対象です。
- 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
- 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
- 害虫などの生物による異常な災害
- 盗難
- 横領
2019年に猛威を振るった台風15号や19号による場合は、①に当てはまります。
要件2:対象の資産
対象の資産の要件は2つです。
1つめは、資産の所有者について。
資産の所有者が納税者本人、もしくは、納税者と生計が一つの配偶者や親族で総所得金額等が38万円以下の人の場合が対象です。
納税者本人の場合は所得にかかわらず対象になりますが、配偶者や親族の場合は所得によっては対象外になります。
2つめは、資産が事業用ではなく、生活に通常必要でない資産ではないこと。
生活に通常必要でない資産とは、別荘などの不動産、貴金属や骨董など1つの価格が30万円を超える動産です。
この2つの両方に該当する場合に雑損控除の対象になります。
控除金額の計算方法
次の2つのうちどちらか多い方の金額が控除額になります。
- 差引損失額-総所得金額等✕10%
- 差引損失額のうち災害関連支出の金額-5万円
雑損控除を計算するためには、いろいろな用語が出てきます。
出てくる用語に番号をふって、一つ一つ詳しく説明します。
①差引損失額
差引損失額は、損害を受けた金額から保険金などで補填される金額を差し引いた金額です。
①差引損失額=②損害金額+③災害等に関連したやむを得ない支出の金額-⑤保険金などにより補填される金額
②損害金額
損害金額は、損害を受けたときの資産の時価を基にして計算した損害の額です。
②損害金額=損害を受けたときの資産の時価を基にして計算した損害の額
資産の時価と言われてもわかりませんよね。
そのようなときは、住宅の主要構造部に損壊があって、かつ、資産について個々に損失額を計算することが困難な場合は、決められた方法で計算することが認められています。
Ⅰ‐2 雑損控除の適用における「損失額の合理的な計算方法」:国税庁HP
計算には「被災した住宅、家財等の損失額の計算書」を使用します。
③災害等に関連したやむを得ない支出の金額
災害等に関連したやむを得ない支出の金額は、災害関連支出に、盗難や横領にあった場合の原状回復費用を加えたものです。
③災害等に関連したやむを得ない支出の金額=④災害関連支出の金額+⑥盗難や横領にあった場合の原状回復費用
盗難や横領がなければ、次の④災害関連支出の金額と同じになります。
④災害関連支出の金額
災害関連支出の金額は、住宅の修理にかかった費用など原状回復のための金額、取壊しや除去等の金額です。
④災害関連支出の金額=住宅、家財、車両の修繕費用、取壊し、除去等の費用
⑤保険金などにより補填される金額
保険金などにより補填される金額は、火災保険や車両保険などの保険金、応急修理や住宅修繕緊急支援事業などの補助金を受け取った場合の金額です。
もう一度計算式を見てみる
さて、もう一度番号をふった計算式をみてみましょう。
先ほどの式はこんな感じです。
- ①差引損失額-総所得金額等✕10%
- ④災害関連支出の金額-5万円
これを分解すると下記のようになります。
- ②資産の時価を基にした損害の額+⑤修繕、取壊し、除去等の費用+⑥盗難や横領の原状回復-⑤補填金額-総所得金額等✕10%
- ④修繕、取壊し、除去等の費用-5万円
この式で計算したどちらか多い方の金額が控除額になります。
国税庁の「雑損失の金額の計算書」に一つ一つ数字を入れていくと、控除額を算出することができます。
なお、雑損控除の金額が大きくてその年の所得金額から引ききれない場合は、引き切れなかった分を翌年以後に最長3年間繰り越すことができます。
雑損控除の適用を受けるための手続き
雑損控除を受けるためには、確定申告書に雑損控除に関する事項を記載する必要があります。
また、住宅などの修繕費用や取壊し、除去等の領収証と「り災証明書」を確定申告書に添付するか、税務署員に提示する必要があります。
雑損控除のまとめ:確定申告書等作成コーナーや様式など
以上、雑損控除について見てきました。
確定申告したことがない人や、わからない人もいると思います。
国税庁 確定申告書等作成コーナーを使えば、一つ一つ入力していくことで確定申告書を作成することができます。
本文でも触れましたが、雑損控除は「雑損失の金額の計算書」、損害金額は「被災した住宅、家財等の損失額の計算書」を使って計算できます。
以下、参考に国税庁HPのリンクです。
※税金についての詳しい内容は、市区町村や税務署、税理士にお聞きください。