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【銘柄分析】業績大苦戦中のキヤノン(7751)は高配当利回り?

キヤノンのロゴ
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キヤノンと言えば1988年から2019年まで、一度も減配することなく30年以上配当を維持・増額していた銘柄です。

この記事を読めば、あなたもキヤノンを買いたくなるはず!(・∀・)

キヤノンの配当履歴

早速キヤノンの配当履歴を見てみましょう。

決算期1株当たり利益(円)1株当たり配当金(円)配当性向(%)
2005年12月期288.6366.6723.10
2006年12月期341.9583.3324.37
2007年12月期377.59110.0029.13
2008年12月期246.21110.0044.68
2009年12月期106.64110.00103.15
2010年12月期199.71120.0060.09
2011年12月期204.49120.0058.68
2012年12月期191.34130.00
(普120記10)
67.94
2013年12月期200.78130.0064.75
2014年12月期229.03150.0065.49
2015年12月期201.65150.0074.39
2016年12月期137.95150.00108.74
2017年12月期222.88160.00
(普150記10)
71.79
2018年12月期234.09160.0068.35
2019年12月期116.93160.00136.83
2020年12月期79.3780.00100.79

1株当たり利益にバラツキはありますが、リーマンショック後も黒字を維持し、配当性向が100%を超える年もあるものの減配することなく配当を出してきています。

しかし、2020年12月期では新型コロナウイルスの影響により大幅減益で、配当は前期の1株当たり160円から80円に大幅減額となっています。

キヤノンの業績推移

次にキヤノンの業績を見てみましょう。

この十数年はキヤノンにとっては激動の時代でした。

決算期売上高
(億円)
営業利益
(億円)
営業CF
(億円)
フリーCF
(億円)
2005年12月期37,5415,8306,0562,045
2006年12月期41,5677,0706,9522,344
2007年12月期44,8137,5668,3924,068
2008年12月期40,9414,9606,1661,442
2009年12月期32,0922,1706,1122,410
2010年12月期37,0693,8757,4444,023
2011年12月期35,5743,7804,6952,130
2012年12月期34,7973,2383,8401,714
2013年12月期37,3133,3725,0762,574
2014年12月期37,2723,6345,8393,146
2015年12月期38,0023,5524,747211
2016年12月期34,0142,2885,002-3,368
2017年12月期40,8003,3145,9054,255
2018年12月期39,5193,4293,6521,697
2019年12月期35,9321,7463,5841,299
2020年12月期31,6021,1053,3382,183

2015年はネットワークカメラ大手のアクシス社の買収対価の支払い、2016年は東芝メディカルシステムズの株式取得費用によりフリーキャッシュフローは大幅に減額、マイナスとなっています。

2020年12月期は、やはり新型コロナウイルスの影響で減収、そして大幅な減益です。

過去最高益を記録した2007年12月期

2007年のキヤノンは販売するほとんどの商品が売れ行き好調で、まさに絶好調でした。

セグメントごとに決算短信や決算説明資料の文言を抜き出して見てみます。

事務機事業

売上高2兆9,355億円、営業利益6,503億円の主力事業で、売上高営業利益率は約22%の高さです。

  • カラー複合機 → 好調
  • モノクロ複合機 → 好調
  • その他(デジタル商業用プリンタ等) → 好調
  • カラーレーザービームプリンタ → 好調
  • モノクロレーザービームプリンタ → 好調
  • レーザービームプリンタ消耗品 → 好調
  • 単機能インクジェットプリンタ → 販売台数減少
  • インクジェットプリンタ複合機 → 好調
  • インクジェットプリンタ消耗品 → 好調
  • ビジネス情報機器 → 横ばい

カメラ事業

売上高1兆1,527億円、営業利益3,074億円で、カメラ事業も売上高営業利益率は高く約26%です。

  • 一眼レフデジタルカメラ → 好調
  • コンパクトタイプデジタルカメラ → 好調

光学機器その他

売上高3,931億円、営業利益211億円で比重は小さく、売上高営業利益率は約5%で高くはありません。

  • 液晶用露光装置 → 低水準
  • 半導体用露光装置 → 若干低調

とにかく絶好調

露光装置では苦戦しているものの、主力事業の事務機事業とカメラ事業では売上高営業利益率が20%以上でイケイケです。

全事業を合わせても売上高営業利益率は21.84%となり、収益性の高さが際立っています。

2007年12月期の決算短信では下記のように見通しを示しています。

次期(2008年12月期)の見通し

当社関連市場においては、デジタルカメラが一眼レフタイプ、コンパクトタイプともに、引き続き順調に拡大するものと見込まれます。ネットワーク複合機やレーザビームプリンタではカラー機の需要がさらに増加するとともに、価格競争の激化や低価格帯の製品への需要のシフトが続くものと思われます。半導体用露光装置は、液浸機の市場規模の拡大は見られるものの、市場台数は減少するものと見込まれます。一方、液晶用露光装置は、液晶パネルメーカー各社により大規模投資が計画されており市場は順調な回復を見せるものと想定されます。

好調な市場環境が続くという明るい見通しですが、2008年にはリーマンショックという未曾有の金融危機が待っています。

そして、2007年12月期から「利益配分に関する基本方針」を決算短信で示しています。

2007年12月期の利益配分に関する基本方針

当社は、将来の投資計画やキャッシュ・フローの状況を勘案しながら連結業績を反映して、配当を中心に、より積極的な利益還元に取り組んでまいります。具体的には、中長期的に配当性向を連結ベースで 30%程度に高めるよう、努力してまいります。

これまで20%台だった配当性向を30%程度に高めるという株主への利益還元方針を打ち出しました。

それから十数年、低迷するキヤノン

ITの進化、スマートフォンの登場など十数年で大きな変化がありました。

その煽りをもろに受けたキヤノンは低迷期を迎えています。

2019年12月期のセグメントごとに決算短信や決算説明資料の文言を抜き出して見てみます。

オフィスビジネスユニット

売上高1兆7,026億円、営業利益1,689億円で、20%以上あった売上高営業利益率は約9%まで悪化しています。

  • カラー複合機 → 好調
  • モノクロ複合機 → 減少
  • プロダクション機 → 好調
  • レーザープリンター → 市場の落ち込みが想定以上
  • レーザープリンター消耗品 → 減収

イメージングシステムビジネスユニット

売上高8,074億円、営業利益482億円で、こちらも20%以上あった売上高営業利益率は約5%です。

  • レンズ交換式デジタルカメラ → 市場の縮小が続く
  • インクジェットプリンター → 市場の縮小により減収

メディカルシステムビジネスユニット

2016年に東芝メディカルシステムズ(現 キヤノンメディカルシステムズ)のキヤノングループ入りによって当事業に参入しました。

売上高4,385億円、営業利益267億円ですが、重点的な販売力強化による売り上げ拡大、原価低減活動を加速して収益性を向上させるとしています。

  • CT装置、MRI装置等 → 増収減益

産業機器その他

売上高7,379億円、営業利益155億円で、売上高営業利益率はわずか2%です。

  • 露光装置 → 顧客の投資抑制により減収
  • その他 → ネットワークカメラは市場の拡大が継続

厳しい・・・

カラー複合機、プロダクション機、ネットワークカメラ以外は苦戦が続いているキヤノン。

対2007年12月期で見てみると売上高で-19.82%営業利益で-82.15%営業利益率は-16.98ポイントとなっています。

2019年12月期決算短信では下記のように見通しを示しています。

次期(2020年12月期)の見通し

当社関連市場においては、オフィス向け複合機の需要は、カラー機が堅調に推移するため全体では微増となり、レーザープリンターは景気の回復が緩やかなものに留まるため前期を下回る見通しです。レンズ交換式デジタルカメラの需要は、エントリーモデルは縮小が続きますが、フルサイズ機をはじめとしたハイアマチュア向けモデルについてはミラーレスカメラの需要が底堅く推移する見通しです。インクジェットプリンターの市場は、新興国を中心に緩やかに持ち直す見通しです。医療機器については、医療インフラの整備の進む新興国における需要の拡大もあり、堅調に推移する見通しです。半導体露光装置は、メモリー価格が下げ止まっており、投資は回復に向かっております。また、FPD 露光装置・有機 EL ディスプレイ製造装置についても、中小型パネル向けの投資が徐々に上向いており、高精細大型パネル向けも引き続き堅調に推移する見込みです。ネットワークカメラについては、セキュリティに対する需要の高まりや用途の多様化が進み、市場の拡大が継続する見通しです。

状況を悲観することなく前向きな見通しです。

ちなみに、キヤノンの利益配分に関する基本方針は2007年12月期に定められてから、業績の下落が続く2010年12月期決算短信では下記のとおり変更しています。

2010年12月期決算短信

業績が安定的な拡大基調に戻るまでは、配当性向目標等の数値目標は掲げず、中期的な利益見通しに加え、将来の投資計画やキャッシュ・フローなどを総合的に勘案し、安定的かつ積極的な株主還元に取り組んでまいります。

2017年12月期には決算短信から「利益配分に関する基本方針」の記載が削除されていますが、定時株主総会招集ご通知の中で利益配分に関する基本方針は引き続き記載されています。

2020年12月期の利益配分に関する基本方針

当社は、中期的な利益見通しに加え、将来の投資計画やキャッシュ・フローなどを総合的に勘案し、配当を中心に安定かつ積極的な利益還元に取り組むことを基本方針としています。

市場の縮小、そしてコロナ禍でも僕がキヤノンの株を買う理由

身を置く市場がことごとく縮小し、未だにトンネルの出口が見つからず減収減益が続いているキヤノン。

さらには新型コロナウイルスの影響で世界の景気は減速していますので、キヤノンの商品はその影響をもろに受けることとなるでしょう。

減配発表前の株式市場では、予想配当利回りが8%に迫るほど見放されている状況でした。

それでも僕がキヤノンを買う理由。

それは、

  • リーマンショック後を含め、30年以上減配しなかったという実績
  • 減配したとしても、それでも高利回りだという予想

この2つです。

30年以上減配しなかったという実績

30年・・・長いです。

30年の間にはリーマンショックもありました。

ですが、先ほどの業績の表をご覧いただいてわかるとおり、減益にはなるものの赤字にはなっていません

キャッシュフローにもご注目いただきたいのですが、期間中の営業キャッシュフローはもちろん黒字

営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引いたフリーキャッシュフローに関しても、東芝メディカルシステムズの株式取得という大規模投資を行った2016年12月期こそは赤字でしたが、その他の年では黒字を出し続けています

コロナ禍の2020年12月期の決算では大幅な減収減益だったものの、営業キャッシュフローは3,338億円、フリーキャッシュフローは2,183億円の黒字を維持しています。

このキャッシュフローこそが配当の源泉となっているのです。

減配したとしても高利回り

2020年半ば、キヤノンの株価は2,000円を下回って推移していました。

仮に前期と同額の160円の配当が出た場合、配当利回りは8%と超高利回りです。

それが年間80円、160円の半分に減額されましたが、それでも配当利回りは4%です。

あれ?4%?まあまあ高くね?

コロナの影響は1~2年は続くでしょうが、キヤノンの業績を調べていて僕は思いました。

キヤノンの体力はすごい。

毎期売上高の約8%程度を継続して研究開発費に使っています。

将来への投資を惜しまずに行い、そんな中でもフリーキャッシュフローを稼ぎ続けている

必ずや配当を2019年12月期の水準まで戻してくれることでしょう。

僕はそれに賭けました。

2021年4月には早速増配予想を打ち出しています。

そして更なる増配を発表して、最終的に2021年12月期の1株当たり配当金は100円となりました。

決算期1株当たり利益(円)1株当たり配当金(円)配当性向(%)
2021年12月期205.3510048.70
2022年12月期(予)242.5712049.47

結局はキヤノンに惚れたのです

最近は「投資は応援だ」とツイッターのタイムラインにイヤというほど流れてきます。

僕もそう思います。

でも、金儲けができなくては応援できない。

キヤノンは配当という利益をくれる企業である。

そして何より調べれば調べるほどキヤノンという企業を好きになりました。

早速、職場で使っている電卓をキヤノンのものにしようと思ったら、すでにキヤノンでした(笑)

キヤノンの株を売りたい人は売ればいい。

僕が買ってやる!!

Funds OwnersBook

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