信用取引の売買手数料無料化で喜んだのも束の間、我ら弱小投資家は顧客とみなされていないようです。
弱小投資家の皆さんに「現実」をお伝えします。
「信用取引の取引手数料・金利・貸株料・事務手続き料の変更についてご説明」
Contents
auカブコム証券誕生
2019年12月1日、カブドットコム証券がauカブコム証券となりました。
非上場化したことによって「株主還元重視」から「顧客還元重視」に大きく舵を切ると宣言していました。
信用取引売買手数料無料化
12月2日、信用取引売買手数料の無料化を発表しました。
「新生「auカブコム証券」誕生記念!! 「ベストプライス宣言!」 第2弾:信用取引の取引手数料を「撤廃」金利/貸株料引上げ等のお知らせ」
「おお!KDDIやってくれる!」そう思いました。
タダですからね。
でも、喜びは悲しみに変わります。
「タダより高いものはない」とはよく言ったものです。
買方金利・貸株料の引き上げ
信用取引売買手数料無料化を飲み込んで一度冷静になって読み返してみると、こんな文字が書かれています。
「上記信用取引手数料撤廃の他、買方金利・貸株料の引き上げ、および品受/品渡に関する事務手続き料の新設がございます。」
買方金利の引き上げ
制度信用取引は2.98%⇒3.98%、一般信用取引は2.79%⇒3.79%へ、それぞれ1%も引き上げられます!!
ただ、金利優遇プラン適用中の人は、現行のまま優遇金利が適用となります。
貸株料の引き上げ
制度信用取引は変更ありませんが、一般信用取引(長期)は1.50%⇒2.25%、一般信用取引(売短®)は3.9%⇒5.85%へ引き上げられます。
一般信用取引(売短®)は5.85%と、スルガ銀行の不動産向け貸出金利である4.5%を大きく上回る利率です!!
貸株料は大口顧客を含めてすべての人が引き上げられます。
品受/品渡に関する事務手続き料の新設
信用取引売買手数料の無料化に伴って、その金額が丸々新しい手数料として徴収されることになります。
その名も「品受/品渡に関する事務手続き料」。
無料化した信用取引売買手数料は、品受/品渡に関する事務手続き料として引き続き同じ金額がかかってくるのです。
この品受/品渡に関する事務手続き料は、金利優遇プラン適用中の人はかかりません。
だって、もともと無料なんだもん!!
株式等の譲渡所得の計算に考慮されない!!→経費計上は確定申告が必要
個人的に一番イミフなのはこれです。
新設された品受/品渡に関する事務手続き料は、株式等の譲渡所得の計算に考慮されないそうです!!
売買手数料であれば、所得を計算するときに必要経費として控除することが認められていました。
ですが、この品受/品渡に関する事務手続き料は必要経費とすることができないというのです!!
必要経費にできないということは、その分だけ所得が多くなるということ。
所得が多くなるということは、その分だけ税金を多く負担しなければならないということです。
2019年12月18日追記
品受/品渡に関する事務手続き料について、12月6日時点では上記のとおり「株式等の譲渡所得の計算に考慮されません。」と記載がありました。
ですが、12月13日以降に確認できた商品概要のページでは、「株式等の譲渡所得の費用に計上するには別途確定申告が必要」と記載されていました。
auカブコム証券ホームページ内で表記の違いがあったので問い合わせてみました。
問い合わせの結果、「品受/品渡に関する事務手続き料は、株式等の譲渡所得の費用に
auカブコム証券から回答をもらったあとにホームページを見てみると、下記のとおり修正されていました。
経費計上するには別途確定申告が必要だけど、経費にできるかは分からないから、税務署、税理士等に相談してね。とのことです。
大口顧客還元重視が明確化
最後に整理します。
大口顧客
- 信用取引売買手数料はもともと無料
- 買方金利は現行のまま優遇適用
- 貸株料は引き上げ
- 品受/品渡に関する事務手続き料は発生しない
大口顧客以外
- 信用取引売買手数料は無料化
- 買方金利は1%引き上げ
- 貸株料も引き上げ
- 品受/品渡に関する事務手続き料が発生し、必要経費にできない。
一般信用売建可能銘柄が豊富なauカブコム証券ですが、大口顧客でなければ優待クロスのコストが大きく増加することになります。
証券会社からしてみれば、優待クロスだけする小口よりも、普段から利益を生み出してくれる大口の方を重視しますよね。
今回のauカブコム証券の方向性は納得できるものではあります。
皆さんはどう思いますか?(・ω・)
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鋭い記事ありがとうございます。
おかげさまで気づけたので私の方でも少し調べてみました。
au株コム証券によると、
「※品受/品渡に関する事務手続き料は、入出金確認の画面にてご確認いただけます。(取引履歴や取引報告書には記載されません。)
※品受/品渡に関する事務手続き料は、株式等の譲渡所得の費用に計上するには別途確定申告が必要となります。詳しくは、税務署、税理士等にご相談ください。」
とのことなので、確定申告すれば大丈夫そうです。どの項目に品受/品渡に関する事務手続き料を記載すればいいかは税務署に聞くしかないでしょう。面倒くさくなるのは確実です。
N株さん
コメントありがとうございます。
確かに商品概要のページには確定申告すれば経費になるように書いてありますね。
でも、12月6日の「ご説明」のページでは、「振替入出庫に関する手数料等と同等の取り扱いとなるため、株式等の譲渡所得の計算に考慮されません。」と言い切っています。
どっちなんでしょう?カブコムに問い合わせてみます!
素晴らしい記事有難うございます。
今の私の率直な感想は騙し討ちにあったということです。
今回の手数料無料化は一部の大口投資家を除き、実質は形を変えただけの値上げと言わざるを得ません。
道義的に大いに問題あり、こういうのをペテンと称するのでしょう。経営陣は責任をとり速やかに退陣すべきと思います。何よりもまともな手数料プランの抜本的見直しが必要と考えます。いかがでしょうか。
市護市得さん
お褒めの言葉ありがとうございます。
騙し打ち、そうかもしれませんね。
結局は金利と貸株料を引き上げたということで、残念な気持ちは同じです。
証券会社もどこかで利益を得なければ存続できないので、仕方がないのかなとも思っています。
信用取引の金利負担は引き上げに成ったが、持ち株をカムコムに貸す制度の受取金利は12月から「1/5」に成っとる。…だまし討
okatoshiさん
貸株の金利が1/5は残念ですね。
証券会社が受け取る金利は増やして、支払う金利は減らす。どのように利益を上げようとしてるのかがわかっておもしろいですね。売買手数料の収入がなくなるわけですから、残念ですけど仕方ないですね。