独立系不動産投資グループのスターアジアグループがスポンサーの総合型J-REITです。
僕が保有している銘柄の一つでもあります。
そんなスターアジア不動産投資法人について紹介します!
Contents
スポンサー・資産運用会社・格付
スポンサー | スターアジア・マネジメント・エルエルシー |
資産運用会社 | スターアジア投資顧問 |
格付 | A+ / 安定的(JCR) A- / 安定的(R&I) |
資産運用会社の株主 | 出資比率 |
---|---|
スターアジア・アセット・マネジメント・エルエルシー | 100% |
スターアジア不動産投資法人の特徴
スターアジア不動産投資法人は、スターアジアグループがスポンサーの総合型J-REIT。
スポンサーのスターアジアグループは米国と日本に拠点を置き、主に米国の大学基金、財団や年金基金等の長期運用を志向する投資家の資金を、日本の不動産等関連資産に投資する独立系の不動産投資グループです。
東京圏に所在する100億円未満の「ミドルサイズアセット」を中心に投資する方針です。
ポートフォリオの用途を分散させて収益の安定化を図っています。
また、劣後社債などのメザニンローン債権へ投資している点も特徴です。
スポンサーのスターアジア・マネジメント・エルエルシーは、優先的物件情報の提供、ウェアハウジング機能の提供など、スターアジアグループのスターアジア・キャピタル・コープ・リミテッドは、投資ビークルを通じた本投資法人の投資口の保有、本投資法人に対するウェアハウジングのための資金提供などを行っています。
合併前のさくら総合リート投資法人のサブスポンサーで、プロパティ・マネジメント業務を行っていた日本管財(9728)と完全子会社の東京キャピタルマネジメントを、出資はないものの「サブ・スポンサー」と位置付けていて、物件情報の提供や一部の物件で東京キャピタルマネジメントがプロパティマネジメント業務を担っています。
投資方針(ポートフォリオ構築方針)
用途
用途ごとの数値目標は定めず、オフィス、商業施設、住宅、物流施設、ホテル、学生専用レジデンスに投資する方針です。
また、1つの用途への投資比率は50%以下としています。
2023年1月31日時点のポートフォリオは、オフィスが38.3%、住宅が19.4%、物流施設が15.6%、商業施設が14.2%、ホテルが12.6%となっています。
投資エリア
投資エリア | 割合 |
---|---|
東京圏 | 70%以上 |
東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)へ70%以上の割合で、大阪圏(大阪市)、名古屋圏(名古屋市)、福岡圏(福岡市)、その他の政令指定都市等へ30%未満の割合で投資する方針です。
住宅と物流施設については、大阪市、名古屋市、福岡市の近隣地域においても投資可能と、さらに物流施設は立地特性等を勘案し、投資対象エリア外においても投資可能と定めています。
2023年1月31日時点のポートフォリオは、東京圏が68.8%、その他が31.2%となっています。
資産規模・1口当たりNAV推移
上場からの資産規模と1口当たりNAVの推移は下のグラフのとおりです。
直近10期(5年)の資産規模と1口当たりNAVは下記のとおりです。
決算期 | 資産規模(億円) | 1口当たりNAV(円) | 増減率 |
---|---|---|---|
‘17.1 | 614 | 54,863 | 2.1% |
‘17.7 | 753 | 55,942 | 2.0% |
‘18.1 | 753 | 56,206 | 0.5% |
‘18.7 | 860 | 56,482 | 0.5% |
‘19.1 | 1,013 | 56,268 | -0.4% |
‘19.7 | 1,023 | 57,180 | 1.6% |
‘20.1 | 1,023 | 58,436 | 2.2% |
‘20.7 | 1,049 | 57,521 | -1.6% |
‘21.1 | 1,667 | 57,040 | -0.8% |
‘21.7 | 1,667 | 57,994 | 1.7% |
「2020年までに資産規模 2,000 億円」の目標は未達でしたが、2026年までの中期計画では、「資産規模3,000億円、物件数目安100物件」を目標として掲げています。
1口当たり分配金・1口当たりFFO推移
上場からの1口当たり分配金と1口当たりFFOの推移は下のグラフのとおりです。
分配金はとても安定しているとは言い難いくらい増減が激しいです。
直近10期(5年)の1口当たり分配金と1口当たりFFOは下記のとおりです。
決算期 | 1口当たり分配金(円) | 増減率 | 1口当たりFFO(円) | 増減率 |
---|---|---|---|---|
‘17.1 | 1,556 | 221.5% | 1,910 | 126.8% |
‘17.7 | 2,212 | 42.1% | 1,474 | -22.8% |
‘18.1 | 2,039 | -7.8% | 1,612 | 9.4% |
‘18.7 | 1,387 | -32.0% | 1,764 | 9.4% |
‘19.1 | 1,860 | 34.2% | 1,720 | -2.5% |
‘19.7 | 1,813 | -2.6% | 1,810 | 5.2% |
‘20.1 | 1,394 | -23.1% | 1,769 | -2.3% |
‘20.7 | 1,718 | 23.2% | 1,516 | -14.3% |
‘21.1 | 1,676 | -2.4% | 1,531 | 1.0% |
‘21.7 | 1,462 | -12.8% | 1,815 | 18.5% |
‘22.1(予) | 1,455 | – | ||
‘22.7(予) | 1,476 | – |
2026年までの中期計画では、1口当たり分配金1,600円以上を目標として掲げています。
公募増資(PO)・第三者割当増資履歴
利益のほとんどを分配するJ-REITにとって、増資は成長するための重要なエンジンになります。
上場からの公募増資、第三者割当増資の履歴は下記のとおりです。
直近の2022年1月期では、63億円を調達して、借入金とあわせて129億円で7物件を取得しています。
沿革
2015年12月 | スターアジア不動産投資法人設立 |
2016年4月 | 東京証券取引所に上場 |
2020年8月 | さくら総合リート投資法人を吸収合併 |
さくら総合リート投資法人(3473)を吸収合併
さくら総合リート投資法人は、2016年9月に上場した総合型J-REITです。
メインスポンサーは、オーストラリアを拠点に不動産開発やファンド運用事業を行っているガリレオグループ、サブスポンサーは日本管財でした。
2019年5月、スターアジアグループがさくら総合リート投資法人とスターアジア不動産投資法人の合併へ向けた提案を行います。
これに対して、さくら総合リート投資法人は反対の意を表明し、J-REIT初の敵対的買収となりました。
さくら総合リート投資法人側は必死に抵抗し、投資法人みらい(3476)との合併契約を締結するなどしましたが、結局は2019年8月30日の投資主総会にてスターアジア側の提案が可決され、さくら総合リート投資法人と投資法人みらいとの合併契約は終了となっています。
ところが2019年9月12日、さくら総合リート投資法人のスポンサーだったガリレオグループのギャラクシー・ジェイリート・ピーティワイ・リミテッドが、投資主総会の招集方法及び決議方法が違法または不公正だとして投資主総会決議取消訴訟を起こしました。
2020年2月27日、取消訴訟の判決があり、ギャラクシーの請求は棄却されましたが、2020年3月2日、ギャラクシーは東京高等裁判所に控訴。
戦いは続いていましたが、2020年10月2日付で控訴を取り下げています。
これによってさくら総合リート投資法人との合併が無事に成立することになりました。
日本管財は合併後もサブ・スポンサーとして、スターアジア不動産投資法人の運営にかかわっています。
スターアジア不動産投資法人のまとめ
- スターアジアグループのスポンサーとしての力不足は否めない。
- 現体制のままでは資産規模目標の達成は非常に厳しいと思われ、目標達成には更なる買収に期待。
- ポートフォリオの用途の分散は効いているが、物件入替などにより分配金は不安定。
- 中期計画を信じて投資するか否か…。