宿泊施設を主な投資対象としたJ-REITについて、賃料形態の違いなどに注目して比較してみました!
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ホテル特化型・主体型のJ-REIT一覧
ホテル特化型・主体型J-REITの一覧は下記のとおりです。
- インヴィンシブル投資法人(8963)
- ジャパン・ホテル・リート投資法人(8985)
- 星野リゾート・リート投資法人(3287)
- いちごホテルリート投資法人(3463)
- 日本ホテル&レジデンシャル投資法人(3472)
インヴィンシブル投資法人(8963)
フォートレス・グループがスポンサーのホテル主体型J-REIT。
ホテルJ-REITではトップの資産規模を誇ります。
ジャパン・ホテル・リート投資法人(8985)
シンガポールのSC キャピタル・パートナーズ・グループがスポンサー。
サブスポンサーは共立メンテナンスとオリックスです。
星野リゾート・リート投資法人(3287)
星野リゾートがスポンサーのホテル特化型J-REITです。
星野リゾート以外が運営する物件にも投資しています。
いちごホテルリート投資法人(3463)
「心築」のいちごがスポンサーのホテル特化型J-REITです。
グループにホテルオペレーターの博多ホテルズを抱えています。
日本ホテル&レジデンシャル投資法人(3472)
アパホールディングスがスポンサーのホテル主体型J-REIT。
温泉・温浴関連施設を主たる投資対象とするユニークなJ-REITです。
2023年2月27日に運用ガイドラインを変更して、アコモデーション施設を投資対象に加えています。
ホテルJ-REITの賃料形態
J-REIT全般では一定の金額が家賃収入となる「固定賃料」が一般的です。
それに加えて、一部ではテナントの売上に応じて賃料が増減する「変動賃料」を導入している物件もあります。
さらに、ホテルJ-REITの一部では「運営委託」といった賃料形態も採用されています。
固定賃料
テナントの売上にかかわらず、一定の賃料が収入となります。
例えば、毎月100の固定賃料で契約締結している場合、テナントの売上が300であっても100、500であっても100、100であっても100の賃料が収入となります。
変動賃料
一定ではなく、テナントの売上によって賃料の金額が増減する形態です。
変動賃料の計算方法は、それぞれのテナントとの間で契約によって決まります。
例えば、基準の売上を300、その時の賃料を100とする。
売上が300を超える場合は、超えた金額の10%を100に上乗せ。
売上が300を下回る場合は、下回った金額の10%を100から減額、といった感じです。
売上が増えれば固定賃料よりも多くの収入が期待できますが、逆に売上が減ると固定賃料よりも収入が少なくなってしまうこともあります。
テナントの売上がどれだけ減ったとしても、変動賃料の下限は0なので、マイナスになることはありません。
運営委託
報酬を支払ってホテルの運営を外部に委託し、その運営によって生じた損益を収入として受け取る形態です。
「損益」というところがポイントで、ホテルの運営が赤字になれば収入はマイナスとなってお金が出ていくことになります。
運営委託方式の説明について、導入しているジャパン・ホテル・リート投資法人のプレスリリースから抜粋です。
運営委託方式は、ホテルの運営による収益が、すべて本投資法人の不動産運用収入に反映されるため、ホテル収益の上昇局面においては、その収益向上の成果を直接かつ即座に、本投資法人に取り込むことが可能となります。
一方、ホテル収益の下降局面においては、その収益が大幅に減少する可能性があり、「運営委託による不動産運用収入」がマイナスになるリスクもあります。そのため本投資法人の最終損益にも重要な影響を及ぼす可能性があります。
例えば、売上が300で経費が180の場合、損益は120となります。
ところが、売上が50%減少して150の場合、経費の180を差し引くと損益は-30になります。
運営委託は、もはや不動産賃貸ではなくホテル運営です。
他のJ-REITと比べて収入がマイナスとなる可能性があるので、リスクが高くなります。
ホテルJ-REITの賃料形態割合
ホテルJ-REIT6銘柄の賃料形態をグラフ化してみました。
コロナ前の2019年の決算期における収入額の割合です。
2020年以降はコロナの影響により、変動賃料はもちろん、固定賃料も減額するなど、ホテルJ-REITの収益は非常に大きなダメージを受けています。
アフターコロナでは、この賃料形態とは全く異なったものとなっているかもしれません。
運営委託を導入しているのは、インヴィンシブル投資法人とジャパン・ホテル・リート投資法人の2銘柄です。
この2銘柄は他の銘柄に比べると、リスクが高くなります。
ホテルの運営需要協によって大きく上振れるかもあるかもしれませんし、大きく下振れるかもしれません。
逆に、大江戸温泉リート投資法人(現:日本ホテル&レジデンシャル投資法人)は変動賃料割合7%と低く、テナントの売上にほとんど左右されない安定した賃料形態です。
ホテルJ-REITへ投資する際は、賃料形態にも注目して投資したいですね。
ホテルJ-REITの資産規模一覧
インヴィンシブル投資法人は資産規模が大きく、J-REIT全体でも上位に入ります。
一方、いちごホテルリート投資法人と大江戸温泉リート投資法人(現:日本ホテル&レジデンシャル投資法人)は1,000億円未満で、J-REITの中でも規模が小さいです。
ホテルJ-REITの物件数一覧
J-REITでは、物件数も重要なポイントです。
もし火災などが起きた時、物件数が少ないと1つの物件がポートフォリオに占める割合が大きくなってしまい、ダメージが大きくなってしまいます。
インヴィンシブル投資法人の1つの物件が稼働できなくなった場合、物件数は0.07%の減で済みます。
ホテルJ-REITの1物件当たりの規模
資産規模、物件数で1位だったインヴィンシブル投資法人の1件当たりの規模はそれほど大きくないということがわかります。
投資主優待
ホテルJ-REITの中には株主優待のように、投資主優待を実施している銘柄もあります。
優待制度があるのはインヴィンシブル投資法人、ジャパン・ホテル・リート投資法人、いちごホテルリート投資法人の3銘柄です。
残念ながら、星野リゾート・リート投資法人、日本ホテル&レジデンシャル投資法人では優待制度はありません。
インヴィンシブル投資法人
12月31日に10口以上保有で、対象ホテルに優待価格で宿泊可能です。
ジャパン・ホテル・リート投資法人
6月30日に10口以上保有で、対象ホテルで使える10%割引の宿泊優待券と10%割引のレストラン優待券をそれぞれ5枚貰えます。
いちごホテルリート投資法人
宿泊代金割引
1月31日、7月31日時点の投資主名簿に記載された投資主を対象に、対象ホテルに特別優待料金で宿泊可能です。
Jリーグ試合チケット
1月31日、7月31日に1口以上保有で、Jリーグの試合チケットが貰える抽選に応募できます。
いちご(2337)、いちごオフィスリート投資法人(8975)、いちごグリーンインフラ投資法人(9282)と合同の株主・投資主優待です。